その「たまに脈が乱れる」、放置していませんか?|心房細動と生活習慣病の意外な関係
【要点】
- 心房細動は、症状がほとんどないこともある不整脈です。
- 高血圧・糖尿病・肥満・睡眠時無呼吸症候群(SAS)などがある方は要注意です。
- 心房細動は、脳梗塞の原因になることがあります。
- 発作性心房細動は、「たまにしか起こらない」ため通常の心電図では見つからないことがあります。
- 「動悸はあるのに病院では正常」という方では、HeartNoteなどの長時間心電図が役立つことがあります。
- 血圧・血糖・体重・睡眠・脈をまとめて管理することが、将来の心血管疾患予防につながります。
「時々、脈がバラバラする。でもすぐ治る」
「スマートウォッチで不整脈を指摘された」
「動悸があって病院へ行ったのに、心電図は正常だった」
このような経験はありませんか?
そこで一度確認しておきたいのが心房細動です。
心房細動には、突然始まって自然に正常な脈へ戻る「発作性心房細動」があります。さらに、心房細動が起きていても本人がほとんど症状を感じないこともあります。
そして実は、心房細動は単なる「不整脈」ではありません。
高血圧、糖尿病、肥満、睡眠時無呼吸症候群などとも深く関係しています。
こんな方は、一度「脈」にも注目してみましょう
次の項目に当てはまるものはありませんか?
- ときどき脈が飛ぶ、バラバラする
- 突然ドキドキして、しばらくすると治る
- 健診で不整脈を指摘された
- スマートウォッチで心房細動を指摘された
- 最近、息切れや疲れやすさが増えた
- 高血圧や糖尿病がある
- 肥満がある
- いびきがひどい、睡眠中の無呼吸を指摘された
当てはまるからといって、必ず心房細動があるわけではありません。
ただし、こうした症状を繰り返す方や複数のリスクが重なる方では、一度心電図で確認してみてもよいでしょう。
心房細動は、症状がないこともあります
心房細動とは、心臓の上側にある「心房」の電気信号が乱れ、脈が不規則になる不整脈です。
動悸、息切れ、めまい、疲れやすさなどが代表的な症状ですが、症状がない方も少なくありません。
日本の研究では、初めて心房細動と診断された患者さんの約4割が無症状だったとの報告もあります。
つまり、「動悸がないから大丈夫」とは限らないのです。
高血圧・糖尿病・肥満・SASは、実はつながっています
心房細動は加齢だけで起こるものではありません。
特に、高血圧・糖尿病・肥満・睡眠時無呼吸症候群(SAS)などは心房細動と深く関係しています。
例えば肥満がある方では、高血圧や糖尿病、睡眠時無呼吸症候群などが重なっていることがあります。
また、
「大きないびきをかく」
「寝ている間に呼吸が止まっていると言われる」
「十分寝ても昼間眠い」
という方では、睡眠時無呼吸症候群が隠れている可能性があります。
つまり、血圧は血圧、体重は体重、睡眠は睡眠――と、それぞれ別々の問題ではありません。
将来の心房細動や脳梗塞などの心血管疾患まで考えると、血圧・血糖・体重・睡眠をまとめて管理していくことが大切です。
なぜ心房細動を見つける必要があるの?
大きな理由のひとつが脳梗塞です。
心房細動になると心房が正常に収縮できず、心臓の中で血液がよどみやすくなります。
そこでできた血栓(血のかたまり)が脳へ飛び、血管を詰まらせると脳梗塞を起こします。
そのため心房細動では、「動悸を治す」だけでなく、「脳梗塞を予防する」という視点が重要です。
心房細動が見つかった場合には、年齢、高血圧、糖尿病、心不全、脳梗塞の既往などからリスクを評価し、必要な方にはDOACなどの抗凝固薬を使用します。
また、心拍数を調整する「レートコントロール」や、薬・カテーテルアブレーションなどによって正常なリズムを維持する「リズムコントロール」についても検討します。
近年では、患者さんによっては比較的早い段階からリズムコントロールを検討することの重要性も注目されています。
「病院では心電図が正常」なのに動悸がある?
発作性心房細動では、
心房細動になる → 自然に治る → また別の日に起こる
ということがあります。
夜に動悸があっても、翌朝には正常な脈に戻っているかもしれません。
その状態で病院の心電図を撮れば、結果は「正常」です。
これは検査が間違っているのではなく、検査した瞬間には不整脈が起きていなかったということです。
そこで役立つのが長時間心電図です。
HeartNoteなら、普段の生活の中で心電図を記録できます
当院では、必要に応じてパッチ型長時間心電図「HeartNote」を用いた検査を行っています。
胸に小さな機器を貼り付け、日常生活を送りながら最長7日間、心電図を記録することができます。
そのため、
- 動悸はあるのに病院では心電図が正常
- 数日に1回しか脈が乱れない
- 夜中にだけ動悸が起こる
- 病院へ行くころには治っている
- スマートウォッチで不整脈を指摘される
といった方の不整脈を調べる方法のひとつになります。
2026年には、国立循環器病研究センターなどの研究チームが、日本全国1,653医療機関で行われたHeartNoteによる7日間心電図のデータを解析し、発生頻度の低い発作性心房細動を見つけるうえ
「症状が出た瞬間に病院へ行く」のではなく、「普段の生活の中で心電図を記録する」
これが長時間心電図の大きなメリットです。
今日からできること
難しいことを始める必要はありません。
まずは次のことを意識してみてください。
① 血圧を測るときは「脈」も見る
脈拍数や不整脈の表示にも注目してみましょう。
② 高血圧・糖尿病を放置しない
血圧や血糖を適切に管理することは、将来の心血管疾患予防にも重要です。
③ 体重を放置しない
肥満は、高血圧・糖尿病・SASなどとも関連します。
④ いびき・無呼吸を放置しない
睡眠時無呼吸症候群が疑われる場合には、一度検査を検討しましょう。
⑤「たまに脈がおかしい」を放置しない
繰り返す場合には、通常の心電図だけでなく長時間心電図で調べる方法があります。
Q&A
Q. 高血圧や糖尿病があるだけで、心房細動の検査が必要ですか?
全員に長時間心電図が必要なわけではありません。
ただし、高血圧や糖尿病は心房細動と関係するため、普段から脈にも少し注目してみましょう。脈の乱れ、動悸、息切れなどがある場合にはご相談ください。
Q. 健康診断の心電図が正常なら安心ですか?
発作性心房細動は、検査したときに正常な脈へ戻っていれば通常の心電図では見つかりません。
動悸や脈の乱れを繰り返している場合には、長時間心電図を検討します。
Q. スマートウォッチで心房細動を指摘されました。
スマートウォッチだけで確定診断はできませんが、不整脈を発見するきっかけになります。
可能であれば、記録された心電図や通知画面を受診時にお持ちください。
Q. いびきがひどいのですが、相談してもいいですか?
もちろん構いません。
大きないびきや睡眠中の無呼吸の背景には、睡眠時無呼吸症候群が隠れていることがあります。当院では睡眠時無呼吸症候群についても検査・治療を行っています。
最後に
心房細動は、単なる「脈の病気」ではありません。
血圧、血糖、体重、睡眠、そして脈。
これらは一見別々の問題に見えますが、将来の心房細動や脳梗塞などの心血管疾患というところでつながっています。
当院では、高血圧・糖尿病などの生活習慣病の管理、肥満のご相談、睡眠時無呼吸症候群の検査・治療、不整脈の評価まで幅広く行っています。
特に、
「たまに脈が乱れる」
「動悸があるのに病院では心電図が正常」
「スマートウォッチで不整脈を指摘された」
という方は、必要に応じて最長7日間記録できるパッチ型長時間心電図「HeartNote」を用いて詳しく調べることもできます。
生活習慣病は、単に健診の数字を良くするためだけに治療するものではありません。
将来の心臓や脳の病気を防ぐために、今の血圧・血糖・体重・睡眠・脈を見直す。
気になることがあれば、お気軽にご相談ください。