高血圧|症状がなくても治療が必要な理由とは?
【要点】
・高血圧は自覚症状がほとんどないまま進行する病気です。
・放置すると脳卒中や心筋梗塞、心不全、慢性腎臓病などの重大な病気につながる可能性があります。
・高血圧の治療は「症状を治すため」ではなく、「将来の病気を予防するため」の治療です。
・当院では、生活習慣の改善を重視し、家庭血圧を確認しながら一人ひとりに合わせた治療を行っています。
高血圧とは?
高血圧とは、血液が血管を押す力(血圧)が慢性的に高い状態をいいます。
血圧が高い状態が続くと、血管には常に強い負担がかかります。その結果、血管が硬くもろくなる「動脈硬化」が進行し、脳や心臓、腎臓などの重要な臓器に障害が起こりやすくなります。
高血圧の怖いところは、初期にはほとんど自覚症状がないことです。
痛みや苦しさがないまま病気が進行するため、「サイレントキラー(静かな殺し屋)」とも呼ばれています。
症状が出てからでは遅いことがあります
「頭痛もないし元気だから大丈夫」
「健康診断で少し高いと言われただけだから様子を見よう」
このように考えて受診を先延ばしにされる方は少なくありません。
しかし、高血圧は症状がない間にも血管へのダメージが少しずつ蓄積していきます。
そして、脳卒中や心筋梗塞を発症して初めて、「もっと早く治療しておけばよかった」と後悔される方も少なくありません。
高血圧治療の目的は、今ある症状を改善することではなく、5年後、10年後の健康を守ることです。症状がない今だからこそ、適切に血圧を管理することが将来の大きな病気の予防につながります。
高血圧の診断基準と治療目標
当院では、日本高血圧学会の最新ガイドラインに基づいて診療を行っています。
高血圧と診断される目安
| 診察室血圧 | 家庭血圧 | |
|---|---|---|
| 高血圧 | 140/90mmHg以上 | 135/85mmHg以上 |
治療中に目指す血圧(原則)
| 診察室血圧 | 家庭血圧 | |
|---|---|---|
| 治療目標 | 130/80mmHg未満 | 125/75mmHg未満 |
※年齢や持病、体調などを考慮し、一人ひとりに適した目標を設定します。
高血圧の原因
高血圧の約9割は「本態性高血圧」と呼ばれ、さまざまな要因が重なって発症します。
主な原因は、
・塩分の摂り過ぎ
・肥満
・運動不足
・飲酒
・喫煙
・睡眠不足
・ストレス
・加齢
・遺伝的要因
などです。
一方で、腎臓病やホルモンの病気などが原因となる「二次性高血圧」の場合もあります。当院では必要に応じて検査を行い、専門医療機関とも連携しながら診療を進めています。
当院の高血圧診療
①生活習慣を一緒に見直します
高血圧の治療では、薬だけに頼るのではなく生活習慣の改善がとても重要です。
当院では、
・減塩の具体的な方法
・外食が多い方への食事の工夫
・飲酒との付き合い方
・無理なく続けられる運動
・体重管理
など、患者さん一人ひとりの生活スタイルに合わせて具体的にアドバイスしています。
「減塩しましょう」「運動しましょう」と伝えるだけではなく、実際に続けられる方法を一緒に考えることを大切にしています。
②家庭血圧を重視しています
当院では診察室で測った血圧だけでなく、ご自宅で測定した家庭血圧をとても大切にしています。
家庭血圧は普段の状態を反映しやすく、治療方針を決める上で重要な情報になります。
受診のたびに血圧手帳やアプリの記録を確認し、
・薬が適切に効いているか
・血圧が下がり過ぎていないか
・季節による変化はないか
などを確認しながら治療を調整しています。
薬を処方して終わりではなく、患者さんと一緒に血圧を管理していくことを大切にしています。
③「薬を飲み始めたら一生やめられないのですか?」
これは診察で最も多くいただく質問の一つです。
生活習慣の改善によって血圧が安定し、薬を減量したり中止できたりする方もいます。
一方で、高血圧は加齢とともに進行しやすい病気でもあるため、長期間治療を続けた方がよい場合も少なくありません。
現在の降圧薬は1日1回の内服で24時間効果が持続する薬が多くあります。
毎日「血圧は大丈夫かな」と心配しながら過ごすよりも、薬で血圧を安定させることで安心して生活できるという考え方もあります。
もちろん、「できるだけ薬は少なくしたい」というお気持ちも大切にしながら、一人ひとりに合った治療方針をご相談いたします。
このような方はご相談ください
・健康診断で血圧が高いと指摘された
・家庭血圧が135/85mmHg以上ある
・血圧が高いと言われたが症状がないので様子を見ている
・家族に高血圧の方がいる
・糖尿病や脂質異常症がある
・肥満がある
・将来の脳卒中や心筋梗塞を予防したい
・薬を始めるべきか相談したい
よくあるご質問
Q. 症状がないのに治療は必要ですか?
はい。
高血圧は症状がないまま血管や臓器に負担をかけ続ける病気です。症状が出たときには、すでに脳卒中や心筋梗塞などを発症していることもあります。症状がない今だからこそ治療を始める意味があります。
Q. 家庭血圧はどのように測ればよいですか?
朝は起床後1時間以内・排尿後・朝食や薬を飲む前、夜は就寝前に測定することが推奨されています。
毎日測定できなくても構いませんので、できる範囲で記録をつけて受診時にお持ちください。
Q. 血圧の薬には副作用がありますか?
どの薬にも副作用の可能性はありますが、多くの方は安全に服用されています。
当院では年齢や持病などを考慮し、一人ひとりに適した薬を選択するとともに、副作用がないかも定期的に確認しています。
最後に
高血圧は「症状がないから大丈夫」と思われがちな病気ですが、将来の脳卒中や心筋梗塞を予防するためには、症状がないうちから適切に管理することが大切です。
当院では、日本高血圧学会のガイドラインに基づき、生活習慣の改善から薬物療法まで、一人ひとりの生活スタイルや将来のリスクに合わせた診療を行っています。
健康診断で血圧が高いと指摘された方、ご家庭で血圧が高めの方、薬を始めるべきか迷われている方も、お気軽にご相談ください。